ドライフルーツになったあんずの3つの効果プラス1
金沢、犀川の右岸に室生犀星の文学碑があり、「あんずよ花着け あんずよ燃えよ」と歌う詩が記されています。「私は抒情詩を愛する。わけても自分の踏み来った郷土や、愛や感傷やを愛する。」(叙情詩小曲集)とも書いている室生犀星には自伝的小説「杏っ子」という作品もあります。金沢で生まれ育った犀星は、あんずに深い郷愁があったのでしょうか。
今は長野や青森、福島などが主なアンズの産地として有名ですが、もともとあんずは2,000年以上昔に中国から日本に伝えられたといわれています。
その後長い間、漢方の生薬「杏仁」として、鎮咳と去痰の目的で使われていました。
あんずは桜より少し早く花の盛りが来るので、産地では、あんずのお花見が楽しまれています。
実を食べるようになったのは明治に入ってからのようです。
ヨーロッパのアプリコットは甘い品種が多いですが、東南アジアのあんずは酸味が多い傾向にあります。そのため砂糖で煮込んだり、ジャムにしたり生食より加工して食べるのが一般的です。
干しあんずも酸味の強い生あんずを上手に食べたり保存したりする知恵のひとつとして、今日まで伝わってきました。
あんずの3つの効果とは
あんずを干したことで効力が増すのが、βカロテン、カリウム、鉄分。干すことでそれぞれ3倍から7倍も増加していることが分かりました。
βカロテン効果
アンズを乾燥させるとβカロテンが特出して増えます。
βカロテンはカロテノイドの一つで、プロビタミンAです。摂取することで、体内で、粘膜の保護作用のあるといわれるビタミンAに作り替えられます。
抗酸化作用が強く、いわゆる「サビない」ための成分です。
脳梗塞屋や心筋梗塞の予防や、アンチエイジングが期待されます。
カリウム効果
カリウムは細胞内に含まれ、ナトリウムとともに浸透圧を維持しています。
血圧を安定させる作用があるので高血圧予防には積極的に摂取することが有効です。
ナトリウムを排出するときにカリウム自身も排出されやすく積極的に取るべきミネラルとなっています。
夏場、汗を大量にかきナトリウムとともにカリウムも失われていくと夏バテしやすくなりますし、浸透圧が上手く働かなくなると脱水症状の危険もあります。
またカリウムは筋肉でエネルギーが作られるのを助けています。
体力維持のためにも必要なミネラルです。
鉄分の効果
鉄分は赤血球の中のヘモグロビンや筋肉の中のミオグロビンの重要な構成成分です。
ヘモグロビンもミオグロビンもそれぞれの組織の中で酸素を運搬する役割を持ってるので、鉄が不足するとヘモグロビン、ミオグロビンの合成がスムーズに出来なくなり、疲れやすくなったり、免疫力低下で病気にかかりやすくなります。
また鉄欠乏による貧血も起こります。女性には大切なミネラルです。
プラス1の効果とは
干しあんずには、アミノ酸の一種のギャバ(GABA)が含まれます。
ギャバは抑制系の神経伝達物質として、神経の興奮を鎮めストレスを緩和する働きがあります。
脳のストレスを軽減しリラックスさせるのです。
また血液循環を良くし脳を活性化したり、血圧を下げる効果もあります。
酸味の多いアンズはリンゴ酸やクエン酸も豊富に含まれているので、ストレスが多い人は是非取り入れたいですね。
どうやって食べる?
そんな干しあんずは、そのまま食べても、ドライフルーツの中ではカロリーが低くめで栄養素が多い満足おやつになります。
刻んで他のドライフルーツと一緒にヨーグルトやシリアルのトッピングにしても美味しいですし、干しあんず酒もおすすめです。
あんず酒は、生のあんずで作るより、干しあんずで作ったほうが風味が良くて美味しくなります。
あんず酒
材料
干しあんず600g 杏仁50g レモン4,5個
氷砂糖200~300g ホワイトリカー1800ml
作り方
干しあんずはそのまま、レモンは皮を剥いたものを
半分に切って清潔な広口瓶に入れます。
氷砂糖、ホワイトリカー、杏仁を入れて一月寝かせて出来上がり。
杏仁は漢方薬店で入手出来ます。水洗いして良く乾かしてから使ってください。
杏仁を入れるとなんとも良い香りが立ちますが、無くても大丈夫です。
身体が冷えてしまった人や普段から冷えやすい人に効果があります。
最後にもうひとつ、室生犀星の俳句を
杏あまさうな人は睡むさうな (あんず あまそうな 人は ねむそうな)